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シェアオフィスの導入を検討していて、「本当に集中できるのか」で止まっている方は多いと思います。私は会社が用意したドロップイン型のコワーキングスペース、つまり固定席を持たず行った日に空いている席を使う形式のところを使っていたことがあります。その経験から言うと、答えは「無音ではないが、うるさいかどうかは中身による」です。この記事では音を3種類に分けて整理します。

結論:「うるさい」の中身は3つに分かれる

ひとくちに「シェアオフィスはうるさい」と言っても、実際には性質の違う音が混ざっています。分けて考えないと判断を誤ります。

  1. 避けられない生活音 — 複数人が同じ空間にいる以上、どうしても発生する
  2. マナーによる音 — 本来は避けられるはずなのに起きている
  3. 設備で解決できる音 — 場所を移せば済む

このうち、導入の判断で本当に問題になるのは2番目です。1番目は「そういうもの」として受け入れる前提が必要で、3番目はプランや拠点の選び方で対処できます。

避けられない音:生活音は必ずある

まず前提として、共有スペースは全くの無音ではありません。

複数の人が同じ空間で作業しているので、キーボードを叩く音はありますし、咳やくしゃみの音もあります。椅子を引く音、荷物を置く音、通路を歩く音。この程度の生活音は避けられないものだと思っておいた方がいいです。

ここでギャップが生まれやすいのは、図書館のような完全な静寂を想像してしまうケースです。共有の作業空間はそういう場所ではありません。逆に言えば、自社のオフィスも実際には無音ではないはずで、そこと比べればそこまで大きな差はないという見方もできます。

社員に説明するときも、「静かです」と言い切らない方がいいと思います。期待値がずれると、導入後に不満が出ます。

本当に困るのは「マナー」の方

正直に言うと、困ったのはこちらです。

座席で電話を始める人。その場でオンラインミーティングを開く人。雑談の声が大きい人。マナーを守らない人はどこにでもいます。

ここで押さえておきたいのは、これは設備の問題ではないということです。サービスによっては電話ブースを備えているところもありますし、隣席の声が届きにくくなるサウンドマスキングを導入しているところもあります。つまり「席で話さないための場所」は用意されている。それでも席で話す人はいる、という話です。

だから、設備一覧を見て安心するのは早いと感じます。設備があることと、利用者がそれを使うことは別です。

知らない人同士が集まって作業する場所なので、オフィス以上に気を配るべき場所だと感じました。自社の社員に使わせる場合も、この点は先に共有しておいた方がいいと思います。

ひとつ補足すると、雑談そのものを悪と決めつけると、この形式は合いません。私が意外だったのは、もっと黙々と作業するだけの場所を想像していたのに、利用者同士が顔見知りになると普通に雑談が生まれていたことです。声の大きさは問題でも、会話が生まれること自体は共有スペースの性質そのものです。完全に会話のない環境を求めるなら、そもそも個室を選ぶべきだと思います。

「静かに作業する」の中身が変わってきている

もうひとつ、最近は線引きそのものが動いているように感じます。

キーボードを打つ代わりに音声入力で文章を書く人はいますし、生成AIに声で指示を出しながら作業を進める人もいるでしょう。本人にとっては打鍵と変わらない「作業」でも、隣の席から見れば「ずっと話している人」です。これを従来の感覚でマナー違反と呼べるかというと、微妙なところだと思います。少なくとも、電話や雑談とは性質が違います。

導入を検討する側として押さえておきたいのは、「静かに作業する」の中身が人によって違ってきているという点です。しかもこれは、自分たちが音を出す側になる話でもあります。自社の社員が実際にどう働いているかを見てから、共有スペース中心のプランで問題ないかを考えた方がいいと思います。音を立てない業務ばかりだと思っていたら実は違った、ということはありえます。

音を避けるための選択肢はある

音が気になる場合、対処の方向は3つあります。

空間の種類で選ぶ サービスによっては、完全個室・半個室(セミオープン)・オープンスペースといった具合に、空間を種類で分けているところがあります。同じ契約の中で使い分けられるなら、集中したい日は個室、軽い作業の日はオープンスペース、という選び方ができます。

拠点で選ぶ 拠点によって空間の構成が違う場合があります。オープンスペースを持たず個室だけを備えた拠点もあるので、静かさを優先するなら拠点単位で確認する価値があります。

プランで選ぶ オープンスペースを定額で使い放題にするプランと、自社専用の個室を借りるプランとでは、音の環境が根本的に違います。終日集中する業務が中心なら、前者を選んだ時点でミスマッチが起きます。

それでも向かない業務・向く業務

ここは正直に書きます。

向かない業務

  • 終日、深く集中し続ける必要がある業務
  • 会話の内容を周囲に聞かれたくない打ち合わせが日常的にある(個室や会議室を毎回押さえられるかは要確認)
  • 静かな環境であること自体が成果に直結する仕事
  • 音声入力や、生成AIとの音声でのやり取りが作業の中心にある業務(この場合は自分たちが音を出す側になります)

向く業務

  • 移動や外出の合間に、メール処理や資料確認などをこなす
  • 数時間単位で作業する
  • 会議室を都度借りて打ち合わせに使う

私が使っていたのは移動の合間に立ち寄る使い方でしたが、その用途なら音は大きな問題になりませんでした。逆に、朝から夕方まで座って集中する前提だったら、評価は少し変わっていたかもしれません。

使う時間の長さで向き不向きが変わる、というのが実感に近いです。

内覧で確認しておくとよいこと

写真では音は分かりません。気になるなら実際に行って確認するのが確実です。その際、次の点を見ておくといいと思います。

  • 混んでいる時間帯に見る — 空いている時間だけ見ても実態は分かりません。平日の昼前後など、利用が多そうな時間を選ぶ
  • オープンスペースと個室の両方を見る — 落差がどれくらいあるかを体感しておく
  • 電話ブースの数と場所 — 席数に対して少なすぎると、席で話す人が出やすくなります
  • 実際に座ってみる — 通路際や入口近くは人の動きが多く、印象が変わります

なお、問い合わせや内覧を申し込むときの流れと、担当者から何を聞かれるかについては別の記事にまとめています。稟議前で答えられることが少ない段階でも問題ありません。